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水族館水槽に住む微生物の役割は?

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水族館の飼育水槽は、人為的または微生物の力を借りた物質循環を基盤とする擬似自然水塊であり、水槽内の温度やpH、各種イオン濃度などは日々測定され一定の水準に維持されている。一方で、魚や餌由来のアンモニアは一定濃度を超えると生物毒性を持つため、水槽内微生物によって毒性のより低い硝酸イオンや亜硝酸イオンに変換される必要がある。このように微生物は水族館の飼育水槽の水質維持に大きな役割を担っているが、新規水槽の立ち上げ時期を含む初期水槽内微生物群集の変化や、微生物叢のその後の経時的変化についてはほとんど調べられていない。我々の研究室では、水槽内微生物の群集構造の継時変化や、微生物機能を解明する研究を行っています。閉鎖系水循環システム内の微生物の生態を深く知ることは、水槽の水質管理や魚の健康管理だけでなく、陸上養殖における水質維持や汚水処理にも応用できると考えています。