PROJECT

初期生命の代謝を知る!

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地球に生命が誕生して以降、生命は様々な環境変化に適応しながら、一度も途切れることなくその命を繋いできました。生命の痕跡は現存する約40億年前までの岩石に記録されており、それらを調べることで各時代ごとに生きていた生物の存在や代謝機構などが、徐々に明らかにされています。一方で、これらの痕跡から得られる情報の解像度は時代が古くなるほど低くなり、特にどのような生理代謝機能を有していたのかを伺い知ることは難しくなってきます。その最たる例が約25億年以上前の初期地球環境に生きていた生物、いわゆるいわゆる”初期生命”です。しかしながら、”初期生命”を直接観察することはできません。そのため、現在の地球で、初期地球環境によく似た環境に生息する微生物の生き様を調べることが、生命の進化を解き明かす上で重要なヒントを与えてくれると考えています。
研究室では、特に鉄やマンガンをエネルギー代謝に利用する微生物に注目し、陸上温泉を対象として研究を行っています。これらの微生物は太古代の地質年代を示す岩石に対する研究から存在が示唆され、始原的な代謝機構を持つことが予想されます。しかしながら、初期地球環境における鉄・マンガン代謝機構はほとんど分かっていません。私たちは、陸上温泉の一部には鉄やマンガンに富み、太古代海洋のような貧酸素環境が保たれている環境が存在することを利用し、このような環境での微生物による鉄・マンガンを利用した生理代謝機能を解明することで、初期生命の進化史に新たな1ページが書き加えられると考えています。