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Mehediさんの論文がMicrobes and Environments誌に掲載されました!
Mehediさん(新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 博士課程学生)の藻場に生息する細菌群集を調べた論文が公開されました。
植物と微生物の相互作用に関する研究は歴史も古く、どのような微生物が、どこに生息し、何をしているのか、などが詳しく理解されています。しかしながら、海水中に生息する海草(種子植物)と微生物の関係はまだほとんど知られておらず、葉圏や根圏にどのような微生物が生息するのか?などの基礎的な事柄もよく分かっていません。
本研究では、東京湾のアマモ場を実験対象域と定め、アマモ群落内外から海水、堆積物、さらにはアマモ草体を採取して、16S rRNAアンプリコンシーケンス法により各試料中の微生物群集構造を明らかにしました。堆積物、海水、アマモ草体はそれぞれ特徴的な微生物群集構造を持ちましたが、アマモ草体の微生物群集が水層の微生物群集と高い類似性を示しました。このことは、枯死分解を受けた富津のアマモ草体は、直下の底泥に埋在するのではなく、湾内に発生する強い流れと風により湾内広域に移送され拡散していることを示唆しています。今回の知見は、高い生産性を持つ藻場の有機物がどのような分解過程を経て周囲の環境に拡散されていくのかを知る貴重なデータになると予想されます。