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光で動くイオンポンプSyHRにおける塩基性アミノ酸の役割解明

シアノバクテリアのロドプシン「SyHR」は、光を受けて塩化物イオン(Cl⁻)や硫酸イオン(SO₄²⁻)を細胞内に取り込むユニークな性質を持っています。本研究では、SyHRに存在する12か所の塩基性アミノ酸を1つずつ別のアミノ酸に置き換え、その機能への影響を調べました。その結果、Arg71はSO₄²⁻の結合に、His167はイオンを内部に運ぶ過程において重要な役割を担っていることが明らかになりました。特にArg71を中性アミノ酸に置き換えると、SO₄²⁻の結合や輸送が著しく低下し、His167を疎水性アミノ酸に置き換えた場合は光反応サイクルの途中段階(O中間体)が形成されず、イオン輸送が停止することが示されました。さらに、理論計算によりSO₄²⁻の結合部位の立体構造も予測し、結合のしくみに関する新たな知見を得ました。本研究は、光駆動イオンポンプの分子メカニズム解明に大きく貢献する成果です。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0021925825001838?via%3Dihub