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中島さんの論文がMicrobes and Environments誌に掲載されました!
卒業生の中島さん(現産総研PD)の「既知レチナール生合成遺伝子を持たないバクテリアが作るロドプシンは機能するのか?」を調べた論文が公開されました。
ロドプシンがイオン輸送やイオンチャネルとして機能するには発色団としてレチナールを必要とします。しかしながら、ゲノム上にロドプシン遺伝子は保有するが、レチナール合成に関する遺伝子(一般的にはblh: Beta-carotene 15,15'-dioxygenase)を持たないバクテリアが多数存在することが知られていました。これらのバクテリアはレチナールを合成できないことから、「環境中に漂う他の生物由来のレチナールを盗むことでしか自らが作りだしたロドプシンを機能させることはできない」と漠然と考えられてきました。本研究では(既知)レチナール合成遺伝子を持たないバクテリアも微量ではあるがレチナールを生産し、ロドプシンを機能させることを明らかにしました。
レチナール生産には必ず酵素が必要であると考えられることから、未知のレチナール合成経路が存在することを意味しています。
また、今回の結果からレチナールは生産されるが、その量は非常に少ないことが分かりました。このことは、これらのバクテリアは、レチナール生産と盗レチナールを生息環境や生理条件に応じて使い分けている可能性を示唆しています。
微生物の世界は生存に必要な分子を作ったり、提供したり(盗まれたり)、非常によくできてます。めちゃくちゃ面白い!
中島さんの論文紹介記事はこちらです。
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