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アマモ葉分解に伴う海洋微生物群集の動態とC/N比の関係

論文 2024.5.13
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アマモなどの海草は、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収し、枯れた葉を海底に沈めることで炭素を蓄積する「海の炭素貯蔵庫」としての役割を果たしています。本研究では、東京湾のアマモ葉と海水を用いた実験により、葉の分解に関わる微生物の変化を半年間にわたって追跡しました。その結果、初期にはGammaproteobacteriaFlavobacteriiaなどの増殖が早い微生物が葉の表面に急速に定着し、分解を開始する一方で、後期にはThaumarchaeotaなどの成長が遅い微生物が優占し、難分解性の成分(セルロースやリグニンなど)の処理を担うことが分かりました。こうした「微生物の世代交代」は、葉の炭素・窒素比(C/N比)の変化と密接に関係しており、微生物群集構造の変化が分解過程と連動していることが明らかとなりました。本研究は、海草の分解とそれに伴う炭素循環の理解に重要な知見を提供します。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969724029450?via%3Dihub