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生き物の痕跡を1時間で検出!CRISPR-Cas13を用いた簡便・高感度なeDNA検出法

Research Paper, 論文 2024.6.13
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近年、川や池の水から生物の痕跡(DNAやRNA)を検出する「環境DNA(eDNA)」解析は、絶滅危惧種の保全や外来種の早期発見などに活用され、注目を集めています。しかし従来の方法は、高価な装置や専門知識を必要とし、現場での即時検出は困難でした。そこで本研究では、CRISPR-Cas13というRNAを認識・切断する酵素を用いた、新たなeDNA/eRNA検出法を開発しました。この手法では、特別な機器を使わずに試薬と簡易な加温装置のみで検出が可能で、わずか1時間程度で結果が得られます。実験では、コイやメダカを対象に、従来のqPCR法より高い感度でDNAを検出でき、RNAを組み合わせることでさらに感度が10倍に向上しました。また、現場での完全実施も可能で、コストも1回あたり約1,500円と低価格です。誰もが簡単に扱える本技術は、生物多様性の保全、教育、そして市民科学のツールとして幅広い応用が期待されます。

https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/2041-210X.14369