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光と生物 I(ロドプシン)

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私たちの食卓に並ぶ“海の幸”。これらは食物連鎖をたどれば、最終的には全て、極めて小さな生き物である海洋プランクトンや海洋細菌に行き着きます。そして、これらのプランクトンや細菌の活動に必要なエネルギーは、そのほとんどが海洋表層での光合成によって作られる有機物に由来すると考えられていました。
ところが、2000年にプロテオロドプシン*という新たな光受容タンパク質が海洋細菌の間に広く分布していることが見つかり、さらに、その遺伝子を大腸菌に組み込むと光エネルギーによってATP(生物共通のエネルギー物質)が合成されることが確認されました。現在では海洋表層に生息する細菌の半数以上がプロテオロドプシンを持つと推定されており、プロテオロドプシンを通して海洋生態系に流れ込む太陽光エネルギー量の見積もりは重要な課題であると考えられています。

 

生物遺伝子変動分野では、メタゲノム・メタトランスクリプトーム解析などの手法を用いて、プロテオロドプシンの配列多様性や時空間的変動の解明を進めています。また、大規模比較ゲノム解析や分離株を用いた培養実験から、プロテオロドプシンの進化や生理的役割の解明にも取り組んでいます。その他にも、現場海水からレチナール色素を定量することでロドプシン存在量を推定する手法の開発を行っています。

 

*プロテオロドプシンは、オプシンタンパク質に発色団のレチナールが結合した光受容タンパク質で、光を受け取ると細胞内からH+(プロトン)を汲み出すことで膜電位を形成します。そして、そのエネルギーを使ってATP合成をする、言わば“光駆動型プロトンポンプ”です。