岩崎 渉
iwasaki AT aori.u-tokyo.ac.jp
東京大学 大気海洋研究所 地球表層圏変動研究センター 生物遺伝子変動分野
講師,博士(科学)
地球生命圏の進化・変動のドラマに迫る
生命の誕生以来、数億年オーダーの長時間スケールから数日オーダーの短時間スケールまで、また生態系規模から地球規模まで、あらゆる生命は環境と不可分に相互作用しながらその歴史を紡いできました。生命と地球環境が織りなす複雑なダイナミクスとそのメカニズムを解き明かすため、また、私たちと地球生命圏の未来を考えるための有力な手がかりとして、近年急速に進歩したオーミクス解析やバイオインフォマティクスに、現在、大きな期待が寄せられています。
このような背景のもと、東京大学柏キャンパスにある大気海洋研究所の強力なサポートを受け発足したのが、私たちの研究室です。
数日オーダーの短時間スケールから数億年オーダーの長時間スケールまで、生命は絶え間ない環境の変化に応じて適応・進化してきました。この複雑な過程を解き明かす上で強力な手がかりとなるのが、生物の持つDNA配列全体にあたるゲノム、発現しているRNAの網羅的な計測であるトランスクリプトーム、環境中のDNAの網羅的な計測であるメタゲノムなどのオーミクスデータです。特に、生物学に革命を起こしつつある超高速遺伝子配列解析装置(第2世代シーケンサ)は、これらの網羅的データを様々な問題を解くために自在に計測できる研究環境を生み出しました。また、それと同時に、これらの網羅的データを俯瞰的な視点から解析し新しい概念や仮説へ結びつけていくための技術であるバイオインフォマティクス(生命情報科学)が、これからの生物学に必須な学問分野として注目されるようになりました。
ゲノム情報は生命活動の礎となるものであり、また祖先生命から現代の生命に至る歴史の記録でもあります。トランスクリプトーム情報にはゲノム中で機能している遺伝子全体についての、メタゲノム情報には環境微生物の生態系についての、それぞれ豊富な知識が埋もれています。淡青丸・白鳳丸などの学術研究船の航海で得られるサンプルから超高速遺伝子配列解析装置によって取得した、あるいは世界の研究者がデータベースに登録したこれらのデータを解析することで、生命が環境の変化にどのように応答するか、生態系のダイナミクスが生命と環境のどのような相互作用により生み出されているか、さらに生命と地球が長い時間の中でどのような歴史を相綴ってきたか、などを明らかにするための研究を行っています。
大学院生募集
学内・学外を問わず大学院生の募集を行っています。担当大学院は東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻です。
研究室見学や質問等は随時受け付けていますので、メールにてお気軽にご連絡ください。
新しい研究領域を開拓するため、バイオインフォマティクス・水圏生物学・分子生物学・生態学・地球生命科学・情報科学など幅広いバックグラウンドの方を歓迎します。入学試験の内容も得意な問題を選ぶ選択式になっており、幅広い学科から受験しやすい形式になっています。
また、RA(Research Assistant)として研究開発に関するアルバイトをしていただける大学生、大学院生も募集しています。
教育・研究体制
バイオインフォマティクスからのアプローチ
私たちの目標は、網羅的データを俯瞰的な枠組みから解析し、新しい概念や仮説へ結びつけていくことです。そのため、コンピュータの活用を欠かすことはできません。ただし、具体的にどのようにコンピュータを用いるか、についてはそれぞれのメンバーの興味や適性を重視して決めています。
オーミクスデータを生態系や進化史といった観点から解析するためのアルゴリズムや手法は、まだ研究が始まったばかりの段階です。そこで、必要な数理的手法や情報科学的手法を自ら見いだし開発することが、新しい問題を解くための重要な手段となります。その一方で、数理や情報に関するバックグラウンドが無くとも、基本的なプログラムの書き方やツールの使い方さえマスターすれば、自由な生物学的発想に基づいて網羅的データを縦横に解析し、新しい発見を行うことは十分に可能です。これら双方のアプローチをともに重視しつつ、教育・研究を行っています。
実験・フィールドからのアプローチ
大気海洋研究所は東京大学の附置研究所の中でも学際性が強く、物理学・化学・生物学など幅広い分野から、データ解析・実験・フィールドなど様々なアプローチを得意とする研究者が日々熱心に議論・交流しつつ研究活動を行っている、という特色を持っています。私たちの研究室では、必要に応じてこれらの研究者とアイデアの交換や共同研究を行い、融合領域から面白い研究を生み出すことを目指しています。
希望される方には、コンピュータを用いた解析に加えて、様々な生物学実験や、第2世代シーケンサを用いた新しい実験手法の開発などにも取り組んでいただきます。また状況によっては、大気海洋研究所が海洋研究開発機構と共同で運航している学術研究船に乗船し、我が国の四方を囲むフロンティアである海洋でのサンプリングを行うこともあります。







